
はじめに
岐阜大学デジタル創作同好会 XR02 チーム、チームリーダーの村山翔太です。2026 年 5 月22 日〜24 日に京都・みやこめっせで開催された BitSummit PUNCH に、私たちの VR ゲーム「Dual Sight Defense」を出展してきました。Dual Sight Defense は、Meta Quest で遊ぶ 2 人協力 VR ホラーゲームです。プレイヤーは2 人 1 組で不気味な屋敷に潜入しますが、一方の人にはゴーストだけが見え、もう一方にはデーモンだけが見えます。そして自分に見えている敵は自分では倒せません。仲間に「右にいる!」「後ろ!」と声で伝え、倒してもらう。コミュニケーションが生命線のゲームです。
BitSummit は京都で毎年開催されている日本最大級のインディーゲームの祭典です。世界中のインディーゲーム開発者が集まり、自分たちの作品を展示します。初日はビジネス関係者向けのビジネスデイ、2 日目・3 日目は一般公開日という構成で、3 日間にわたって開催されます。今回の「PUNCH」はその最新回で、私たちは BitSummit Game Jam の一環として、XR 横丁という VR ゲーム専用ブースに出展しました。
この記事では、大学生の私たちが BitSummit に初めて出展して感じたこと、学んだこと、そして正直な反省を全て書きます。
会場に着いた瞬間の衝撃
5 月 21 日、搬入日。みやこめっせに到着して最初に思ったのは「でかい」でした。今までいくつかの展示会に参加してきましたが、規模が段違いです。広い会場に何百ものブースが並び、巨大なモニターや装飾が至るところにある。そして何より驚いたのが、英語が当たり前のように飛び交っていたことです。フランス、アメリカ、韓国、台湾など、世界各国から開発者や関係者が集まっていて、「これが世界のインディーゲームシーンか」と圧倒されました。
搬入作業では、ポスターの設置や Meta Quest のセッティングを行いました。初めてのブース作りで手探りでしたが、XR 横丁の運営の方々がパネルなども用意してくださり、なんとか形になりました。
ビジネスデイ(5/22)
初日のビジネスデイは、ゲーム業界の関係者やメディアが中心の日です。会場を歩いているのはスーツ姿のビジネスマンやプレス関係者ばかり。その中に大学生の自分たちがいるという状況は、正直かなり緊張しました。
それでもブースに来てくれた方々にゲームを体験してもらうと、反応は想像以上に良かったです。誰もが知っているような超大手企業の方が普通に歩いていて、その方々が自分たちのブースに立ち寄ってくれる。信じられない光景でした。夜にはアフターパーティがありました。ここでも参加者のほとんどが海外の方で、英語でのコミュニケーションが求められる場面の連続でした。拙い英語でも、ゲームの話になると盛り上がれる。でもやっぱり、もっと英語が話せたらもっと深い話ができたのに、と悔しさも感じました。
一般公開日(5/23・5/24)
2 日目からは一般の来場者も加わり、会場の熱気が一気に上がりました。私たちのブースにも次々と人が来てくれて、3 日間で合計約 50 組の方にゲームを体験していただきました。
特に嬉しかったのが、海外の方にすごく受けていたことです。言語の壁を超えて、VR の中で 2 人が声を掛け合って敵を倒していく。遊び終わった後に「very fun!」と笑顔で言ってもらえた瞬間は、このゲームを作って本当に良かったと心から思えました。高校生のグループが遊びに来てくれたときは、とにかくワイワイ盛り上がっていて、見ているこちらまで楽しくなりました。遊んでくれた方の大半が「楽しかった」と言ってくれたことが、何よりの励みです。
一方で、大きな課題も見えました。初めてゲームを遊ぶ人が、VR を被ってからゲームが始まるまでに時間がかかってしまい、せっかくのワクワク感が冷めてしまうことがありました。「どうすればスタッフの説明なしに、VR の中だけでゲームが完結できるか」。これは今回最も痛感した課題で、チュートリアルも作成しましたが、まだまだ改善が必要です。
XR ミキサー・交流会
BitSummit 期間中には XR ミキサーという交流会もありました。XR 横丁に出展している世界各国の VR 開発者たちと直接話せる貴重な機会で、お互いの作品について語り合いました。ここでも会話の中心は英語。3 日間を通じて、コミュニケーション能力、特に英語力の重要性を何度も実感させられました。
反省 ― 受賞できなかった理由を考える
結果として、私たちは賞を取ることができませんでした。悔しいです。でも、悔しいだけで終わらせたくないので、チームで冷静に原因を分析しました。
まず、ゲーム開始までに時間がかかりすぎていました。他のチームは Unity のインスペクター側で言語などの設定を事前に済ませていて、プレイヤーは VR を被った瞬間にゲームが始まる状態でした。一方、私たちはプレイヤー自身に設定を操作してもらう形式だったため、その分だけスタートが遅れていました。展示会では「被ったら 3 秒で始まる」が理想です。
次に、チュートリアルと難易度選択の順番が逆でした。チュートリアルで操作を覚えてゲームに入り込み始めたところで、難易度選択画面が出てきてゲームが一度止まる。せっかく気持ちが乗ってきたのに中断されることで、プレイヤーが冷静になってしまっていました。
そして最も大きかったのが、Easy 難易度の設計です。このゲームの一番の面白さは、敵が大量に出現して HP が削られ、パニックになりながら仲間と協力する部分にあります。しかし Easy は敵の出現数が極端に少なく、放置しても HP が大量に余るほどでした。審査員の方々はほぼ全員 Easy を選んでいたので、このゲームの一番面白い部分を体験してもらえなかった可能性が高いです。一方で、最も楽しんでくれた来場者は最初から Hard を選んでいました。この事実が全てを物語っています。
3 つの問題に共通しているのは、「展示会向けの調整」が足りなかったということです。普通のゲームとしては問題なくても、展示会では「初めてのプレイヤーが短い時間で最大限楽しめる」ことが最優先。この視点が欠けていました。
BitSummit に参加して変わったこと
BitSummit に参加する前と後で、一番変わったのは「見えている世界の広さ」です。
正直に言うと、参加する前は自分たちのゲームにそれなりの自信がありました。でも会場に来て、世界中のクリエイターが本気で作ったゲームを目の当たりにして、いかに自分たちが見ていた世界が小さかったかを思い知りました。同時に、その世界の中に自分たちも立っていたという事実は、大きな自信にもなりました。
スタッフの説明なしにゲームが完結できる設計の大切さ、英語でのコミュニケーション能力、展示会ならではの見せ方。学んだことは山ほどあります。
次に向けて
今回の反省を全て活かして、次に進みます。展示会では「VR を被ったら即ゲームスタート」を実現し、難易度は展示会用に一番盛り上がる設定を用意します。ゲーム自体もさらに磨いていきます。
次の出展先として、2026 年 10 月に大阪で開催される OSAKA INDIE GAMES SUMMIT 2026 への応募を予定しています。
おわりに
BitSummit に招待してくださった方々、XR 横丁を企画・運営してくださった G-SMASHの皆さん、そしてブースに来て遊んでくれた全ての方々に、心から感謝します。
「楽しかった」「very fun」。その一言一言が、私たちの次の開発の原動力です。
岐阜大学デジタル創作同好会は、これからも挑戦を続けます。
ゲームページ:https://bitsummit-gamejam.itch.io/bsgj2026-dual-sight-defense-xr02






しょーた
魚市場担当